ふるさと納税でも大人気!〝もつ鍋〟の博多若杉。社長の〝社員〟への想いは〝もつ鍋〟をも超える⁈
九州・福岡で冬の人気メニューと言えば〝もつ鍋〟。各ふるさと納税サイトでも大人気、必ず上位に名前が挙がる〝博多若杉〟さん。福岡県中間市の本社工場を訪問、博多若杉 (株式会社Skyward) 代表取締役 松尾直幸さんにお会いしてきました。
『屋号は〝博多若杉〟ですが、
会社のお名前は
〝株式会社Skyward〟なんですね』
前身の会社は〝有限会社若杉〟という会社で〝飲食事業〟の会社でした。そこから〝お取り寄せ事業〟を分社化したのが〝株式会社Skyward〟の始まりでした。
Skywardは直訳すると〝空の彼方へ・空に向かって〟という意味です。
飲食事業は、お店のある地場のお客さんとしっかり付き合いながら、地域に愛され、地に根を張っていくってイメージなのに対して、全国の食卓に笑顔を届けるお取り寄せ事業(通販)は、私達の商品を天高く空の彼方へ送り出すイメージでした。
商品が九州から空を飛んでお客様に届くような。
また、社員が空を見上げる心のゆとりを持ちながら、現状に満足せず、常に人として成長を続けて欲しいという想いと掛けて〝株式会社Skyward〟と命名しました。
(株式会社Skyward 代表取締役 松尾直幸さん)
『通販を始めよう!となったのは、社長の発案ですか?』
実店舗では、焼き鳥ともつ鍋を提供していたのですが、焼き鳥って、昔から〝持ち帰り〟ってあったじゃないですか。私のお店でも焼き鳥を持ち帰る方はたくさんおられたのですが、鍋も持ち帰りたいというお客さんがいたんです。その当時は、もう、ビニール袋にもつと麺を入れて、スープはペットボトルに入れて(笑)
そうしたら、そのお客さんが「こんな形なら実家のお母さんに送ってみたい」と仰って。飲食店では宅配便を使う事なんてなかったので、宅配業者さんに伝票の書き方からお伺いして試しに送ってみたところ、そのお客さん、すごく喜んでらっしゃって。とても嬉しかったですね。
それまで飲食店一本でやってきたので、出張などで商圏以外の方とお会いする機会もなく、自分の視野や常識は〝お店の中〟にしかなかったんです。だからこの経験は私の中では楽しい発見で、商品を送るっていう方法もあるんだな、〝もつ鍋〟ってこんなに県外の方から喜んでもらえるの?みたいな感じでしたね。こんな形で、何件か、店舗のお客さんの実家やご友人宅にもつ鍋を送っていたら、次はその送られた方が「直接取り寄せできますか?」ってお問合せがあったり、「私も送りたい」とご要望を頂きました。なるほど、「これ〝通販〟ってやつかな」と。あの当時〝通販〟ってそんなにひろまってなかったんですよ。2006年ぐらいですね。
そこから何の知識もない状態で、一番出店しやすそうな楽天市場の説明会を聞きに行ったのがスタートですね。
~〝博多若杉もつ鍋〟の特徴について~
もつ鍋の本場福岡にて1981年に創業し、現在は九州随一の繁華街中洲にてお店を営んでいます。お取り寄せ商品に関しても、「お店の味をそのままに・お店以上の接客を」を信念にモツやスープ製造に励んでいます。
お店の厨房で製造していた工程をそのままに、もつ鍋の具とスープ製造はISO22000を取得し、安心・安全な商品づくりに努めています。
全国より選別した和牛をはじめとした肉牛種のモツを使用し、活きた酵母が味の深さを増す酒粕を使用した醤油スープは、数ある若杉のスープの中でも人気No.1です。
〆のちゃんぽん麺は真空状態で小麦粉を練り込む事で、しっかり炊き上げてもコシが残る、スープの一滴までもつ鍋を楽しむ為に特別につくりあげた拘りの麺です。
~松尾社長の〝もつ鍋〟への想い~
博多若杉が、地域の飲食店から、全国に商品をお届けするお店へと成長できたのは、まさに〝もつ鍋〟の魅力によるものです。
博多は食の都としても有名ですが、その中でももつ鍋は全国のご当地鍋の代表といえるほど認知された商品です。
〝もつ鍋〟と一言で言ってもお店それぞれの特徴があり、具材のモツやスープの違いにより、その魅力は広がり続けています。
博多若杉では、これから少しずつ長い時間をかけながら、まだもつ鍋の魅力を知らない方や、もっと深くもつ鍋の魅力を知りたい方に寄り添い、博多の素晴らしい食文化をお伝えしていきます。
(お部屋の棚の上には、数々の表彰盾が飾られていました。)
『某Eコマースサイトでは、わずか一日で30,508人前を売り上げたと伺っています。
全国にたくさんのお客さんを抱えるもつ鍋なんですね。
中間市のふるさと納税サイトへのバナーを博多若杉さんの自社サイトにも貼って頂いていますが、実は、かなり多くのお客さん・寄附者さんを誘導して頂いていて、大変感謝しているんです。』
『常に新しい取り組みに積極的に取り組まれている印象を受けます。』
それ、すごく必要な事で、そうしなければすぐに会社は無くなってしまうと考えています。時代の変化はめちゃくちゃ速くて、そもそも通販はネットが無かった時代からありましたが、インターネットが普及して、スマートフォンが出てきて、5Gが出てきて。お客様のお買い物の方法、価値観もどんどん変わっていく。どこのお店の〝もつ鍋〟にもこだわりがあって、でも、それをどう伝えるかっていうのを今からきちんと取り組んでいかないといけないんですよ。「美味しいよ」っていうのは、あまり必要ないんです。なぜか?というと、どこのお店も「美味しいよ」って言ってて。
実際…美味しいもんだからお客様はどれが好みのもつ鍋かわかんない(笑)
そういう状況で、「博多若杉の商品っていいよね」と選んでもらえる取り組みをしないといけなくて。ふるさと納税もこれまでは数を追ってやってきましたが、これからは非常識なくらい「ここ面白い事やってるね」と思われる事をやっていきたい。せっかく、ふるさと納税の中でも認知を頂いているので。
例えば、全国の牧場農家さんには、丁寧にこだわって育てているけど、飼育の頭数に制限があって、まとまった一定数を確保できず、全体の流通にのせてしまってその想いをお客様に伝えれていない牧場農家さんとか大勢いらっしゃるわけなんですよね。モツとなると、さらに重量も少なく、手間をかけて取材し、拘りの牛さんの価値をお伝えしても「これだけ?!」って事にはなるのでしょうが、そういう牧場を訪ねて行って、その地域の事業者さんとコラボし、そこの自治体にもふるさと納税の返礼品として出して頂く、うちのEコマースでもコーナーを作って売り出していくとか。
「うちだったらできる社会貢献って何だ?」っていうところを整理して、打ち出していきたいです。こんな想いを持ちながら牧場さんと5~10年取り組んでいく中で、みんなに応援されるような〝博多若杉〟になりたいと思っています。
店舗事業からスタートして、お取り寄せのEコマース事業ができて、さらにふるさと納税事業も加わりました。しかし、Eコマース事業が頭打ちになる事もありますし、ふるさと納税事業にも頭打ちがあるかも知れません。ふるさと納税という制度自体がなくなるかも知れない。そんな時にも、お客さんに「じゃあ、博多若杉の自社サイトで直接買おう」と思ってもらえるような店づくりをしていきたいですね。そうなるため、今の課題は社員がお客さんに認められる存在となり、ファンができることです。
『会社経営で気を付けている事はありますか?』
会社の理念である「お客様の”ありがとう”のために挑戦を続け社会の笑顔に貢献します。」を実践するため、売上(数字)を追う事は一切せず、スタッフ全員でお客様と向き合う事に努めていますね。
Skywardは、役職に関係なくパート・アルバイト・社員含め、想いがあれば誰でもが、何でも発言して良い会社です。良い商品をつくるための前提条件として、社内の人間関係が良好に保たれていて、お客様のために意見を言い合える環境が大切です。スタッフがお客様と向き合えるように、まずは私がスタッフと向き合う事に努めています。
『以前、会社へ伺った際に、ホワイトボードが印象的でした。社員教育についての内容が書かれてたかなと。』
社員教育は大切だと感じています。「お客さんは誰から買うのか?」っていう時代になっていて、カスタマー担当であったり、メルマガを書く人であったり、その人が自分の言葉で博多若杉を発信していかないとお客さまに魅力が伝わらない。
スタッフが楽しんで成長してもらう事を望んでいます。だって、楽しくやらないと、いいアイディアが湧きませんから。例えば、お客さんを巻き込んで、新商品を作るとか。
社員に向けては、インナーブランディングに取り組んでいますが、あまり細かい事は言わないようにしています。出来たら気付いてほしい。自分で考えきれないと、いい仕事ができないから。ただ、まじめなだけではダメだとも考えています。
本当のファン、自社サイトに買い物にやってきてもらえる関係づくりに、楽しみながらチャレンジしていきます。
(会社の玄関を入ると、社員さん手書きのウエルカムボードがありました。)
『これまで一般的に考えられてきた〝お店〟と〝お客〟の関係を超えた関係づくりを目指されている印象を受けました。』
『最後に、中間市の印象と、ふるさと納税について印象をお願いします。』
~中間市の印象~
遠賀川をまたいで、街と自然が共存する素晴らしい都市だと思います。
福岡市、北九州市へのアクセスも良い、まさに福岡の中間(ちゅうかん)の立地は、子育てや生活を送る上で何不自由なく必要なものがスモールに揃う、居住者に優しい街です。
今後、同じ中間市内の事業者さんと一緒に取り組みが出来たらいいなと思っています。
~ふるさと納税の印象~
通販ではよく「お試しセット」ってありますよね?新規のお客さんにお店と商品を知ってもらうために広告で認知してもらい商品のお試しをしていただきます。一方、ふるさと納税では、そのような施策をしなくても、全国の方に博多若杉の味を知って頂けます。それがむちゃくちゃありがたいです。中間市に本社工場を移して、2017年3月からふるさと納税の取り組みを始めたんですが、以前の工場では成し得なかったチャレンジなので、中間市に移転して本当に良かったなと感じています。
同じ商品を複数の自治体様に提供させて頂いていますが、寄附支援者様の多くは中間市様を選択されます。ふるさと納税事業の趣旨の通り、中間市が地域として応援されている街なのかなとも感じています。
中間市、自治体のみなさまのご協力のおかげでSkywardのもつ鍋や水炊きを全国にお届けできている事に感謝の気持ちでいっぱいです。
※インタビュー後に工場見学をさせて頂きましたが、続きは別の記事でお届けします。